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平田星司展
Seiji Hirata
isomorph ―異種同形体―

2017年10月18日(水)〜29日(日)
企画・大橋紀生

撮影:桜井ただひさ


通底するもの

会場に展示された作品を一望したとき、一瞬、何人かの作者によるグループ展、と思うかもしれない。それはごく自然な感想だろう。個々の作品はそれぞれに主張し、自立した成度を持っているのだから。しかしよくよく見ると、そこには何か共通したものがあるように思えてくる。

たとえば、絵画はカンヴァス上に形が構成され、陰影、奥行きなどが色の付いた顔料で表現されるのが普通だが、そこには灰色の塗料が均一に塗り重ねられた画面があるだけである。観る者のイメージを喚起するような図像は一切描かれていない。おのずからカンヴァスの広がりと粘着性のある絵具の痕跡に視線が向かい、絵画の平面性や作者の身振りが意識される。また、海中から拾い上げられ石灰質の紅藻が付着したボトルからは、硬質なガラスへの人智を超えた自然の営みと遥かな時間の経過が読み取ることができるだろう。さらに、さまざまな形状をした瓶が台の上に並列されることによって、コンテナーとしての用途を度外視して、物の姿を在るがまま観察することになる。

もう一つ、これは 2013 年に発表されたことのある、履き古した靴に塗料を塗って棚に展示したオブジェなのだが、今回はそれを改めて撮影し、額装した写真作品である。この靴にはすでに塗料によるハイライトが描かれているので、よく見ると、光が当たってできる影と光源の位置が少しずれていることに気付く。これは撮影されて得られる画像と、目を通じて実物を知覚することの違いを明らかにしているだけでなく、制作のプロセスによって生じる認識の差を示しているのだろう。

人がものを最初に知覚するのは、表面の肌理でありその現われである。内側にどんな複雑な構造や意味が秘められていたとしても、表層からしかその内側を見定めることができない。ただ、それが透明体で被われている場合は、液晶画面のガラスのように見ないで済ますこともできるが、そこには光の屈折による微妙な影響があるだろう。いずれにしても、表面の状態を手がかりにしてこれまで積み重ねた知見をもとに、その中身を洞察し理解することになる。
平田星司の作品は、それぞれ様相が異なる制作物であってもそれらに通底する「表層への意識化と物の存在」という課題を提示している。そのことを作者は、生物・物理用語で「Isomorph‐異種同形体−」と名付けたのだろう。彼の幅広い表現とその優れた美的感性を評価して置きたい。
大橋紀生(エディター)

平田星司 SEIJI HIRATA
1967 年東京生まれ 92 年東京理科大学理学部第二部物理科卒業 94 年渡英 ブライトン大学美術学部絵画科卒業 1996 年 The Slade School of Fine Art 大学院絵画科修了
South Bank photo show 1995 "Home Truth" (Royal Festival Hall) 3 席受賞等、イギリス国内外で展覧会に参加。 97 年帰国後、アートプログラム青梅 2009「空間の身振り」他、藍画廊や Galerie SOL など都内を中心に個展、グループ展多数。2010 年 中根秀夫との二人展(トキ _・アートスペース)、14 年 倉重光則との二人展(ギャラリー箱 三浦市)。17 年東京都美術館主催による企画公募「第6回都美セレクション グループ展」に参加。
ウェブサイト https://www.facebook.com/seiji.hirata4


Dark Matter ダークマターPropagandists

Interior paintingShoes, representedCharisma drawing

撮影:桜井ただひさ

 

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